観戦記

後援会会長・門池啓史さんの観戦記を掲載します。

観戦記  京都大学戦 平成22年5月23日 at京都大学グランド


GRAMPUS 後援会会長
門池 啓史 さん


前週、大阪大学との定期戦に惜敗したグランパス。
本日はあの、京都大学との試合が京大グランドで行われる。
京都大学アメリカンフットボール部は、
輝かしい歴史をもっている。


強豪校の京都大学の選手たち

過去大学日本一に六回、
そして社会人との試合を制して文字通り日本一になったことが四回と、
日本フットボール界の名門中の名門である。
特に、今から二十年位前は、向かうところ敵なしの最強チームだった。

その頃私も関西で何度も京大の試合を見たが、花形QBを中心に圧倒的な強さを示していた。
その後、優勝からやや遠ざかってはいるが、
京大は関西一部リーグで常に中堅の位置を保っている。

関西一部リーグは、
日本の大学リーグではおそらく最強であると思われるが
京大は昨秋、常勝、関西学院大学相手に
残り時間数秒までリードしていたほどの力のあるチームだ。
京大は全国の大学から試合の申し込みが多数あるであろう。

だからまず今回試合ができることに、
グランパススタッフ一同の皆さまに感謝したい。
同時に、受けていただいた京大のご関係者にも感謝したい。

正直言って、残念だが、
今日の試合はとてもグランパスが勝てる相手ではないと思う。
どこまでグランパスが善戦できるかに興味はある。

しかし、今日は激しい雨と強い風が吹く大変な悪天候下で行われる。
グランドはところどころ池のような状態となっているので、
パスは投げにくいし、ランナーは走りにくいと思われる。


大雨の中での試合

つまり、たくさんの点は取りにくい状況下なのだ。
これは我がグランパスにとっては、
たいへん有利な条件であえると言えるだろう。
こういう天候下では力の差ほど、点差は開かないことが予想されるからだ。

激しく降る雨の中、グランパスのキックで試合開始。
京大は自陣30ヤード付近からの攻撃となる。
二回のランをグランパスはよく抑えるが、
3rdダウンから京大は10ヤードのパスを通し、FD(ファーストダウン)を取る。

しかし次のシリーズをパントとさせ、
グランパスは自陣30ヤードからのオフェンス開始だ。
QB#9友枝君からWR#22安田君に10ヤード近いパスが通り、
FDを奪うも、次のシリーズでQBサックを受けパントとなる。

京大自陣20ヤード付近から攻撃となるが、
グランパスDL&LB陣の踏ん張りがあり、パント。
次のグランパスの攻撃はFDを一回とるものの、
次にFD取れず、パント。
ここまでのところ、両者全く互角の戦いだ。
「いい感じ」。

京大は自陣40ヤード付近から攻撃。
中央付近まで進んだところで、
RBがグランパス選手の激しいタックルにあい、ボールをファンブル。
これをグランパスがおさえ、ターンオーバー!
攻守交代だ。


#31若山のファンブルリカバー

「いいねえ、グランパスやるじゃないの」と思う。
何せ相手は天下の京大だ。
私は最強時代の京大をよく知っているだけに、
今、ここでグランパスが京大相手に試合していること自体が夢のようである。

第2Q開始。
QB友枝君は中央からWR安田君へロングパスを投げるも、
これを京大DBにインターセプトされ攻守交代。
まあ相手陣奥深くでのターンオーバーだから、よいでしょう。

その後京大パントの後、
グランパスはRB#29梶原君にプレーアクション
(ランと見せかけパスを投げるプレー)がぴたっと決まったり、
安田君へのパスが決まったりして、
じりじりと進み、京大陣に進む。

しかし、ここで友枝君からたいへんよいパスが数回投げられるが、
ボールはすべてレシーバーの手を滑りインコンプリート。
やはり大雨の影響か…。


#9の友枝 オフェンスの要

京大は自陣25ヤードからの攻撃で、RBが中央をするするっと抜け、
70ヤード近く走り、グランパスゴール直前まで来てしまった。
「せっかく、よいディフェンスをしてたのに、一発でこれか…」とがっくり。
私はTDを覚悟する。

しかし、しかし京大はTDまで後わずかのところで、
センターからQBへのスナップが悪くQBはボールをファンブルし、
これをグランパスがおさえる!
攻守交代!
なんともラッキーだ。

グランパスは自陣1ヤードからの攻撃だが、
悪いポジションなのでここは少しでもランで稼いで、
後はパントでよいと私は思った。

ところが、ここで友枝君から安田君へロングパスが試みられる。
これは惜しくもインコンプリートとなってしまったが、
私は驚いた。
作戦的に、通常この悪いポジションからのロングパスはない。
しかし、敢えてそれを試みたところに、グランパスの意気を感じた。
「男前だねえ…」と私は心で微笑む。

でも、グランパスは自陣のエンドゾーン内からのパントと
全く苦しいポジションだ。
京大はリターナーをおかず、全員がパンターをつぶしに行く作戦を取る。
しかし、ここはパンター友枝君が冷静にパントし、
中央から京大の攻撃となったところで、前半終了。
0-0。


真剣な眼差しの新入生

私は正直、前半を1本のTDで押さえたら御の字だと思っていたが、
戦いは全くの五分であり、
グランパスは大善戦している。

やはり、この大雨がグランパスに有利に作用しているのもしれないが、
ライン戦で負けていないのであまり京大のロングランを許していない。

京大のキックで後半開始。

グランパス自陣40ヤード付近からの攻撃となったが、
パスを京大にインターセプトされ攻守交代。
しかし京大も攻撃に決め手がなくパント。
その後両者パントを繰り返す。

グランパスは友枝君からよくコントロールされたパスがたくさん投げられるが、
レシーバーはあと一歩でキャッチできないことが多く残念だ。
大雨のせいにはしたくはないが…。

第4Q突入。
0-0。

大雨の中、気付けばついに第4Qまで来ている。
なんとここまで京大相手に点を与えていない。

ちょっと私には信じ難いが、
やはり京大もグランドがたいへんぬかるんでいるので、攻撃しづらそうだ。
しかし、京大は30ヤードのパスを決め、
グランパスゴール直前まできて1stダウンとなってしまった。
ここはTDを取られそうだ…。

しかし、しかし、京大はまたしてもセンターからのスナップが悪くQBがボールをファンブルし、
これをグランパスがおさえ攻守交代となる!
雨の影響か今日は京大のスナップが悪い。

グランパスは自陣ゴール近くからのシリーズをランで地道にFDを取るも、
パントとなり、京大は名大陣30ヤード付近からの攻撃となる。
嫌なポジションだ。

京大はランで進むが、グランパスのナイスディフェンスがあり、
4thダウンでFG(フィールドゴール)を試みる。
30ヤードもない距離なので私は3点を覚悟する。
京大キッカーはボール蹴るが、
これをグランパス選手がブロック!
ころがったボールをグランパス選手が取り、
走って自陣40ヤード付近まで走る!
「すごい!」。

グランパスはランとパスで進み、京大陣深くまで進む。
しかし、残り時間があまりない。
審判が残り時間「1分」と告げた。
私は内心このまま引き分けでも十分だと思う反面、
FGでもいいから点をとり勝利してほしいものだとも思う。

3rdダウンロングで、友枝君からエンドゾーン内にボールは投げられた。
そこには安田君が走っているのが見える。
しかし京大DBもぴたっと横についている。
雨の中、ボールは安田君に向かう。

京大DBは手を伸ばしながらもおいつかず、ころがり落ちる。
安田君はしっかりボールを胸の中におさめる。

TD!!


#22安田 執念のキャッチ

「やったあ!!」
グランパス選手はじめ、応援団も大騒ぎだ!
PATは決まらなかったが、ともかく6-0でリードした。
しかも残り時間はあと数十秒しかない。
グランパスのキックは何としても無難であってほしい。

祈るような気持ちが通じたのか、
ナイスキックで京大は自陣30ヤードからの攻撃だ。

残り時間は「15秒」となった。
京大はパスを決めるが、残り時間なく最期のプレーとなる。
ここは100%ロングパスしかない。

京大QBは後ろに下がり、
パスを投げようとしたところを、グランパス選手がサックにいき、
見事にQBサックがきまり試合終了。
6-0。


応援ありがとうございました!!

ついに、ついに、あの京大に勝った!!
私は信じられないが、本当に嬉しい。
今日は、この悪天候がグランパスに幸いしたことは間違いないが、
気象条件は京大も平等なので、
本当によくやってくれたと思う。

勝因はまずグランパスのOL、DL陣だと思う。
ラインがしっかりしているから、強敵相手にも試合になるのだ。

グランパスのOL陣

それにしてもこの勝利は、
グランパス選手・スタッフ諸君の大いなる自信となったものだと思う。
秋のリーグ戦が本当に楽しみとなってきた。

春のシーズン、
残りは南山戦と三重大戦があるが、
今日の勢いでぜひとも大勝してほしいものだ。

追伸:この試合、京大の選手は2、3年生主体であったようです。

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