観戦記

後援会会長・門池啓史さんの観戦記を掲載します。

観戦記  名城大学戦 平成22年9月5日 at四日市ドーム


 

 

 

GRAMPUS 後援会会長
門池 啓史 さん


いよいよグランパス秋のレギュラーシーズンが始まる。
初戦の今日は中部地区最強、名城大学との試合が四日市ドームで行なわれる。

グランパスは昨年同率最下位となってしまい、
入れ替え戦出場まで経験してしまったが、
今年こそは上位進出、願わくは「優勝」を勝ち取ってほしいものだ。

ここ数年名城大学の力は抜きん出ていて、優勝を重ねている。
グランパスもここ数年は、名城に全く歯が立たない状況である。
昨秋、グランパスは同率最下位、かたや名城は一位で、
全国大会準決勝まで進出したチームだ。

今日は「勝てるわけないよね…」
という声が聞こえてきても不思議ではない。

だが、私は五年前を決して忘れない。
2005年9月、勝てるとはとても思えなかった名城に完勝したのだ。
それも接戦ではなく、
始めから終わりまでグランパスが圧倒していた試合だった。

今日も五年前のように完勝はしなくてもよいが、
何とか勝利してほしいと思う。
もちろん、それも不可能ではないと思われる。
なぜなら名城にとっても今日は初戦となるため、チームとして必ず隙がでてくると推測されるからだ。

名城戦に臨む試合前の選手達

今年の夏は異常に暑かった。
というか9月に入っても全くの真夏状態だ。
今日も最高気温予想がなんと、36℃ということだ。
こんな酷暑が逆に名城に本来の調子を狂わして、我グランパスに優位になればよいがと願うばかりだ。

名城大学のキックオフで試合開始。
グランパス自陣30ヤード付近からの攻撃開始となる。

QB#9友枝君からRB#29梶原君へショートパスが決まるも、
後が続かず、4thダウンパント。
ナイスパントとなり、名城は自陣18ヤードからの攻撃開始となる。
フレッシュを許すも、
次のシリーズでDE#59の野田君のナイスタックルが決まりパントとさせる。

グランパスの攻撃はパントとなってしまったが、
次の名城の攻撃で、パスをDB#14藤居君がインターセプトして攻守交替とす。

インターセプトを決めた新Dリーダー#14藤居(写真左)
ナイスタックルを決めたDL#59野田(写真右)

次に、グランパスはRB#17溝口君へのスクリーンパスが
ぴたりと決まり、ロングゲイン。
そして4thダウン、インチをギャンブルしフレッシュを奪うもその後が続かず、パント。

ここまでのところ両チーム共ほぼ互角の戦いだ。
「うん、いまのところ良い展開だ」と私は思う。
0-0で第2Qに入る。

名城は自陣30ヤードから地道にランを重ね、
じりじりとグランパス陣内奥深く進む。

ゴール近くまで来て、最後はオフタックルをRBが走りぬけTDをあげる。
PAT(ポイントアフタータッチダウン)も決め、0-7となる。

ロングゲインに成功したRB#17溝口

格上相手に、先制TDを奪われるのはたいへんよろしくない…。

グランパスは自陣30ヤードから攻撃開始。
WR#1伊藤君に30ヤード近いパスが通る。
ランが連続して決まり、
名城陣30ヤード付近まで進むもTDを奪うことはできない。

次のシリーズはグランパスDL、DB陣のナイスタックルが連発し、
名城にパントとさせるも、グランパスも攻撃が続かずパントとなる。

前半残り時間が少なくなってきたところで、
名城はグランパス陣奥深く進む。

正直言って、ここで1本TDを取られると
名城の勝ちはほぼ決まってしまうと私はかってに判断した。

前半で2本のTD差は、格上相手には絶望的なのだ。
しかし、ここはグランパスディフェンスが踏ん張り、
ゴールまで10ヤード近くのところで、残り時間3秒となって、
名城はフィールドゴール(FG)狙いにくる。

この位置からであれば半分以上の確率で決まってしまうな、
と私は思ったが、名城キッカーはこれを外す。
0-7で前半終了。

前半終了間際で、TDもFGも奪われなかったことはたいへん大きい。
TD1本差であれば、何とか勝負にはなる。
グランパスは強豪相手に善戦していると思う。
また、今日はパスもかなり決まっているのが心強い。

応援にきてくださったたくさんの方々

ハーフタイム時に他の大学のご関係者から、「名大いけますよ!」と励ましのお言葉を頂戴する。
なんとも嬉しかったが、私は決して安易に勝てるとは思っていない。

後援会長としては不謹慎かもしれないが、
基本的に私の応援スタンスは「悲観主義」なのだ。
悲観主義であればたとえ負けても、後にあまり引きずらないが、
あまりにも勝つことを意識し過ぎると、私自身に敗戦のショックが尾を引いてしまう…。

過去、私は敗戦の傷で立ち直るのに時間を要したことが多々あった、
というかあり過ぎたのだ。
などと、自分の心の中で勝つの、負けるのと葛藤を繰りかえしていると後半開始となった。

グランパスのキックで後半開始。
ボールがうまくころがり、名城は自陣2ヤードからの攻撃となる。
名城は一つフレッシュを取るが、
続かずパントとなり、グランパスは中央からの攻撃開始だ。

パスが連続して決まるものの、
フォルススタートの反則でフレッシュが続かずパント。
名城は自陣15ヤードからの攻撃を、
ランでじりじりと攻め入る。

今日、名城はほとんどパスを投げてこない。
どうしたんだろう?とは思うが、ランでヤードを確実に取れている。
ついに名城はグランパスのゴール直前まで来てしまった。

ここでTDを取られたら、グランパスは負けだ。
残り5ヤード付近から名城は1stダウンとなってしまったので、大ピンチだ。

しかし、ここでグランパスディフェンスは踏ん張り、
残り1ヤードで4thダウンとさせた。
本当にナイスディフェンスだったが、ここからのFGであればほぼ決まるだろう。

そうなると0-10となり、
ひじょうにグランパスは苦しくなる。
私はグランパス勝利をあきらめかけてしまった。

しかし、しかし、
この短い距離のFGを名城キッカーはなんと右に外してしまったのだ。
大ラッキーだ!

私は生き返り、俄然、やる気が出てきた!!

QBからのパスをキャッチしたWR#22安田

グランパスは自陣20ヤードから攻撃開始となる。
まず、WR#22安田君に15ヤードパスが決まる。

QB友枝君から安田君への定番のパスだ。
引き続きWR伊藤君へのパスが決まり、中央付近まで進む。

QB友枝君はまたしても、
伊藤君への20ヤード近いパスをぴたっと通す。

伊藤君はボールをキャッチすると、右へ左へとカットバックをし、
名城DB陣の中をくぐり抜ける!

あっという間に、ゴールを駆け抜けTDだ!
「やったあ!」

ついにTDを取ったぞ。
50ヤード近いプレーだった。
PATも決まり7-7の同点となった。

タッチダウンを取ったWR#1伊藤

私は悲観主義をやめ、「絶対勝つぞ!」モードに変わった。
応援席も大いに盛り上がっている。
これはいけるかも!

グランパスのキックを名城リターナーは自陣10ヤード付近でキャッチ。
少し走ったところで、うまくグランパスのタックルを外す。
中央付近まで走ってようやくタックルされるかと思ったら、リターナーはこれもうまく外す。

「えっ!!」
名城リターナーの前には誰もいなくなってしまった。
グランパス選手が必死に追いつこうとしているが、
リターナーは振り払い、エンドゾーンに到着してしまった。
TD…。

私は余りにも、速い展開に何が何だかわからない。
声もでなくなってしまった…。
「せ、せっかくTDを取ったのに…なんで…?」

同点の大喜びもつかの間、
あっという間に取り返されてしまった。
現実は厳しすぎる…、大喜びした自分が切ない…。
7-14とリードされる。

第4Qに突入。

なんとか気を取り直し、応援をする。
何といっても1本差だから、追いつけないわけではない。
と思いつつ、名城リターナーの独走が脳裏をかすめる。
「何とか止められなかったのか…」と。

しかし、キッキングの場合はフォーメーションがとり難いため、
えてしてこのようなビッグプレーが生じやすいのだ、
仕方がないと自分自身に言い聞かせる。

互いにパントを繰り返した後、
グランパスは中央からの攻撃で、まずOLのナイスブロックがあり、
RBは15ヤードほど進む。

ここでイエローフラッグが飛んだ。
こういう場合はオフェンスのホールディングである場合が多い。
とすればせっかくの15ヤードがボツになってしまいなおかつ、
10ヤードの罰退を強いられる。

しかし、これは名城のパーソナルファウルだった!
レイトヒットでもあったのだろうか。
とにかく、名城は15ヤード罰退させられ、
グランパスは名城陣20ヤードからと絶好の位置からのオフェンスとなった。

RBが7ヤード走り、ゴールまで13ヤードと迫る。

次にTDパスを試みるもインコンプリート。
しかし次にオープンへのRBランが決まり、
ゴールまで3ヤードまでと迫る。
4thダウンとなってしまったが、当然ここはギャンブルだ。

ほんの1ヤードもない(数センチか?)距離を獲得すればフレッシュとなり、
その後4回の攻撃で3ヤード進めばTDとなる。
同点だ。

このギャンブルはどんなプレーコールなのだろうか。
パスはまずないと思う。
常道であれば、RBのダイブかQBのダイブだろう。

しかし、近くにいるグランパスOBは
「RBのオープンではないか」とおっしゃっている。

オープンは失敗すればロスとなることが多いが、
それでもやるのだろうか?

ここはたった数十センチを進めばよいのだ。
私はRBによる中央のダイブプレーとよんだ。

センターからボールはQB友枝君へスナップされた。
友枝君はそのまま左へ走る。

「うん、オプション?」と思ったが、彼はそのまま左オープンを走る。
決めうちのQBキープだ!

QBキープを試みたQB#9友枝

しかし、名城の選手数人がぴたっと友枝君についている。
友枝君は左のサイドラインに向かって走るが、タックルされてしまった。
横走りで、ロスしている。

攻守交替…。
「ううーん、QBキープか…」
私も周囲も読みは外れた。


常道なプレーではなかったが、
逆に予想もしなかったので、よいプレーコールだったのかもしれない。

それをうまくカバーできた名城はさすがだった。
脱帽です。

残り時間はあったが、
グランパスは自陣奥深いポジションからの攻撃は機能せずゲームセット。

7-14で敗戦となった。
一時は同点となり、勝ちも考えられたが、
やはり名城の壁は厚かった。

冷静にみれば、引き分けが精一杯で勝つチャンスはなかったと私は思う。

しかし、今日はパスの成功率が極めて高く、
今後は強いオフェンスが期待される。

残り4試合を全勝でいってほしい。
否、今日の試合を見れば残り全勝は決して不可能なことではない、と思った。

がんばれグランパス!

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