観戦記

後援会会長・門池啓史さんの観戦記を掲載します。

観戦記  南山大学戦 平成22年10月31日 at港サッカー場


GRAMPUS 後援会会長
門池 啓史 さん


東海一部リーグはここ数年名城大学の連覇が続いており、
今シーズンも名城の優勝が予想されたが、
南山大学が旋風を巻き起こし、目下4連勝中であり優勝戦線をリードしている。

開幕の初戦で名城大学に惜敗したグランパスだが、
その後3連勝してチームには勢いがあるように思う。
私は正直言って、ここまでグランパスが強いとは思わなかった。

今日はグランパスと南山大学との最終戦が
「優勝」をかけて行われる。

南山は今日勝つか、引き分けるかで優勝が決定するが、
我グランパスは南山に勝って、
次週、名城が中京に負ければグランパスの優勝が決まる。

名城が勝てば、
名城、南山とグランパスによるくじ引きで優勝が決まるようだ。
本音を言えば、
まさかグランパスと南山が優勝争いをするとは思わなかった
(南山のご関係者の皆さんゴメンナサイ)。

とにかく、グランパスは今日絶対勝たなければ優勝はない。

今シーズンの両チームの試合を見れば、
冷静に判断して今日の試合は五分五分だと私は判断している。
勝負を決めるのは「つまらないミス」だと思うがどうであろうか。

私はこのチームを応援するようになって12年になるが、
過去優勝のチャンスはほとんどなかったと言ってもよいと思う。

数年前、最終戦で優勝をかけて戦ったことはあるが、
この時は相手チームが強すぎて
戦う前からグランパスの敗戦はほぼ予期できた。

だから今日は私が応援してから実質的に初めての、
真の優勝戦だと思っている。
充分グランパスにも優勝のチャンスはあるのだ!

今日はさすがに優勝がかかっているので、
応援席にはたくさんのOB、ご家族、一般の方がいらっしゃっている。
関東方面からも多くいらっしゃり、
過去最高の応援数ではないかと思う。

嬉しい限りだ。


試合直前の様子

気温20度晴れの下、グランパスのキックで試合は始まった。
南山は大きくゲインしてグランパス陣に入り、
40ヤードからの攻撃となる。
初めからピンチだ。

南山は一つフレッシュをとった後、グランパスの厳しいディフェンスにあい、
4thダウンからフィールドゴール(FG)狙いにきた。
ここは距離があるのでどうかなと思ったが、案の定、キックは失敗し無得点に抑える。

私はほっと一息。

グランパスは自陣20ヤードから最初の攻撃となる。
ランとパスでフレッシュが続き、中央付近まで進む。
しかし次が進まずパントとなり、
南山は自陣40ヤードから攻撃。
南山はパスとランを重ねてじりじりと進み、グランパス陣25ヤードまで進む。

ここはグランパスディフェンスがしっかり抑え、
4thダウン2ヤードとさせる。
南山はここでFGを狙わず、ギャンブルにきた。
ここで、キャプテン、LB#43上田君のナイスタックルがあり、
ターンオーバー(攻守交替)となった。


ナイスタックルをしたLB#43上田

「いいぞ、いいぞ!」
グランパスはWR#1伊藤君へのミドルパスやショートパスが決まり、中央まで進む。

ここでQB#9友枝君はWRへパスを投げるも、
南山LBにインターセプトされる!
ポジションが悪く前には誰もおらず、50ヤードの独走TDを奪われてしまった。
PATも決められ、0-7。
南山応援席は大騒ぎだ。

優勝戦で先制TDを奪われるとは、まったくもって流れが悪い…。
気を持ち直して、私は応援を続ける。

第2Q開始。

グランパスは自陣30ヤードから攻撃して、
中央まで進むも後が続かず、パント。

南山も攻撃が続かず、
再びグランパスは中央付近からの攻撃となる。
RB#17溝口君のナイスランが続き、ゴールまで11ヤード地点まで進む。
TDまであとわずかだ。

QB友枝君はスイーププレーで、RB#10桑原君にボールを渡す。

「???」

なんと、ここで桑原君はパスを投げる。
その先には、な、なんとQBの友枝君がエンドゾーンの中にいるではないか。
友枝君は難なくボールをキャッチして

TD!!

「ええ、??」
私は何がなんだか全く訳がわからない。
「QBの友枝君がボールキャッチなんてありえないよね」と思う。
しかしこれは超スペシャルプレーだったようで、
私も全くだまされてしまった。
とにかく、信じられないプレーでTDを取ったのだ!

PATも決まり、7-7の同点となる。
「さあ、勝負はこれからだ!!」

やはり試合は拮抗している。
まさに五分五分の戦いとなっている。
とにかくつまらないミスをしないように願うばかりだ。

南山は自陣30ヤードからの攻撃だったがパントとなり、
グランパスは自陣27ヤードからの攻撃となる。
しかし、中央付近で4thダウンインチとなってしまった。

ここはいちおうパント体型をとっているが、
まともに蹴ってくるのだろうか。
パンターは#31若山君だが走ってくるかもしれないと思った。
やはり若山君は蹴らずボールを持って走って、
見事にフレッシュを奪う!

続いて、中央から友枝君はWR#22安田君へロングパスを投げる。
安田君は南山SとCBを振り切る!
ボールはすぽっと安田君の手に収まり走る!走る!
追いすがる南山選手を振り切り、エンドゾーンに走りこみTD!


TDパス成功WR#22安田

50ヤードのTDパスだった。

「おお、やったあ!」応援席は沸き返る。
PATも決まりついに14-7とリードした。
「いい感じ、これは勝てるかも!」

前半残り時間が少なくなってきたが、
南山は中央付近から残り3秒で最後のプレーとなる。
ここは間違いなくパスでくるはずだ。

私は心の中で
「DBのみなさん、後ろに下がっていればいいから無理をしないでね」と願う。
南山の左WRが走った後、こちらに振り返ったかと思ったらまた走る。
QBはそのWRにロングパスを投げる。

「ええ!」
南山WRはグランパスDBを振り切り、フリーとなっている!
「やばい、やめてよ」
しかしボールはぴたっとWRの腕に入り、
そのままエンドゾーンまで走りTD。
「ど、どいうこと??」

私は訳がわからない。
残り3秒で、みえみえのロングパスなのに…。
南山WRのフックフェイクのポストパターンにまともにひっかかってしまった…。

このTDはあまりにも痛い。
わかりきっているプレーを防げなかった…。
言葉がありません。

落ち込んだところで前半終了。

14-14。

前半を見ればまさに白熱した五分五分の試合内容だ。
最初に奪われたインターセプトTDは、
まあ仕方ないでしょう。
でも、前半終了3秒からTDを奪われたのは、あまりにも痛かった。
まったく余分な失点に思えて仕方がない。

気分を一新して後半開始。


真剣に試合を見つめるスタッフ


グランパスは中央までリターナーが返し、よいポジションからの攻撃再開となる。
安田君へのパスが連続して決まったり、
南山の反則があったりで、
ゴールまで12ヤードを絶好の位置まできた。
ここはTDを取って欲しい。
しかし南山も必死のディフェンスでよく守って、
グランパスは4thダウン2ヤードからFGは狙わずギャンブルにでた。
しかし不成功で攻守交替、
残念…。

南山パントの後、
グランパスは自陣30ヤードからの攻撃で、
パスインターセプトされ攻守交替。
南山はグランパス陣30ヤードからの攻撃となり、ピンチだ。
しかし、南山は4thダウンギャンブルを失敗し、
グランパスは難を免れる。

次に、友枝君は安田君へロングパスを投げる。
ボールは曇りに変わっている空を高く、遠く飛ぶ。

安田君はDBの前に出ると、ボールをキャッチ!
追いすがる南山DB陣をぎりぎりで振り切る。

「走れ!!」
そのまま走って、ゴールを抜ける!
70ヤードの超ロングパスが決まった。
「やったあ!やったぞ!」

周りは大騒ぎだ!

PATも決まり、21-14とリードする。

四年生コンビのファインプレーだった。
「よし、勝てるぞ!」第3Q終了近く、南山の中央付近の攻撃中、
グランパスはパーソナルファールを犯し、
15ヤード罰退の痛い反則を取られる。
燃えたぎる闘志はよいが、ここは冷静さも要求される。

いよいよ第4Qへと突入する。

泣いても笑っても頑張るしかない。
南山はじりじりと攻め入り、最後はRBのランでTDを奪われてしまった。
注目のPATも決められ、またもや同点となってしまった。

21-21。

まさに息が詰まる熱戦だ。

その後互いに決め手に欠け、いよいよ残り時間が3分を切る。

私は焦っている自分に気づき始めている。
同点ではだめだ。
リードしないと優勝はない。

逆に南山は同点引き分けでも優勝が確定してしまうのだ。
私は弱気になっている。
絶対勝てると思って負けると、自分が立ち直れなくなるので、
情けないが敢えて弱気にしているのだ。

でも、でも、もうこの際勝利しかないので、
心を切り替え応援することにする。

南山はゴールまで20ヤード地点でFG狙いにきた。
しかしこれは決まっても外れてもあまり意味はないと思う。
グランパスがTDを奪えば逆転するし、
仮にFGが外れるとグランパスは自陣20ヤード地点からの攻撃となってポジションが悪い。

ここはFGを決めてもらって、キックオフリターンの方がよいように思う。
キックであれば30ヤード位は返せるし、
ビッグプレーが生まれることも多々あるのだ。
しかし、南山はFGを外す。

ついに残り時間は1分30秒となった。
タイムアウトもまだ3つ残っているし、パスを決めていけば得点のチャンスはある。

ここは最後に根性をみせてほしい!
南山ディフェンスは、
もちろんある程度のヤードはとられてもよい体型をとっている。
グランパスはパスを続けて成功し、
南山陣35ヤード地点まできた。

残り時間はまだ20秒ある。もう2プレーはできる。
友枝君はドロップバックする。
安田君はポストに向かって走る。
友枝君から投げられたパスは安田君へ吸い込まれていく。

「パスキャッチ!!!!」 と、誰もが思った。
しかし、しかし、
横から青色の選手が入り込み、ボールをインターセプト…、…、…、…。
私は両手をついて倒れこむ。
南山の優勝は決まってしまった…。

応援席は静まり返っている。言葉も無い。

試合終了と同時に
南山スタンドから何十本ものテープがグランド投げられ、
応援席は沸きかえっている。

グランパス選手、スタッフが横一線に並ぶと、応援歌が空しく曇天を流れていく。
4年生の友枝君、最後の最後のパスは、
ほんの極僅かだけ外れてしまった。

もしキャッチしていれば、グランパスは優勝していたかもしれない…。
しかし友枝君のコントロールミスではなかったから、仕方ない…。

私がグランパスを応援して12年目にして訪れた、
初めての優勝のチャンスは、はかなく消え去ってしまった…。
正直言って、私は過去経験したことのない悔しさを感じているが、
現実は厳しい。

しかし、今シーズンのグランパスは私の予想以上に頑張ってくれました。
本当にありがとうと言いたい。
これをもって4年生選手、スタッフは引退するわけですが、
本当にご苦労さまでした。

さまざまなご心労、葛藤、困難があったと思いますが、
本当によく頑張りました。

この経験は必ず、
あなたたちの人生のプラスになるはずです。
グランパスでの経験を心の糧に、
胸を張って今後の人生を歩んでいってほしいと切に願います。


本当に多くの観客の方々

また、グランパスを応援して頂きました
すべての皆様にこの場をお借りして、お礼申し上げます。
ありがとうございました。
最後に、南山大学には全国大会でぜひとも頑張って頂きたいと思います。

名古屋大学アメリカンフットボール部
後援会長 門池啓史

ご声援ありがとうございました!!

更新情報

     
Copyright(c) 2012 Nagoya Univ. American Football Team GRAMPUS All Rights Reserved.