OBインタビュー

34代前主将、上田雄太さんがインタビューにお答え下さいました。紹介いたします。

OBインタビュー  南山大学戦 平成24年9月16日 at名古屋市港サッカー場



34代 LB 上田雄太さん

■試合前
「絶対に負けられない戦い」

9月16日(日)、快晴。

2012年グランパスは秋季リーグ開幕戦の愛知大学戦を見事完封勝利で飾った。

二戦目の相手は南山大学。

大学の所在地が近隣に位置し、某定食屋でもよく顔を合わせる、
私が現役だったころ(2007~2010)から何かと互いにライバル視している相手だ。

近年、南山大学とは春季のプレゲームでも対戦し、
2009年秋季リーグの敗戦以来、5戦負けなしで非常に相性も良い。

私にとって南山は思い入れ深い相手であり(4年時に最終戦で南山と引き分けて優勝を逃した)、
今日も南山戦だということで遥々岡山県は倉敷からやって来た。

絶対に負けられない戦いがそこにはある。
悲願の単独優勝を目指すグランパスにとって今日の試合は圧倒的な差を見せつけて勝ってほしい!

一OBがスタンドの隅でそんな想いを抱いている間に、南山大学のキックで試合が始まった。

■第1Q、第2Q
「早々にまさかの先制(を許す)」

グランパスのリターンは俊足リターナーWR#6石川がキャッチ。

今年もその快足でスタンドを沸かせてくれるのか!?と期待を抱きましたが、
中央ライン陣のブロックが甘すぎて自陣20ヤード付近で串刺しにされました。

あれじゃたっちゃん(WR#6石川)の俊足が生かせないな。

エンドゾーンまで80ヤードのドライブというのはなかなか難しいです。

南山も良い守備選手が要所に配置されていて
ロングドライブは結構しんどいんじゃないかと思われます。

今日はリターンゲームでどれだけオフェンスを楽にできるかがキーになりそうか?

名大のオフェンスはエースQB#2梶原が率います。

この春は全く試合を見ていない私がコメントできるホットなネタがあまりないですが、
彼は下級生のころから試合に出場し(RBやWRでも)キープレイヤーとして勝利に貢献してきました。

最下位になった年、あと一歩で優勝を逃した年、
そして優勝した年と様々なシーズンを経験してきた彼ももう4年。

最終年を一体どんな年にするのか?

ファーストシリーズは、南山ディフェンスの勢いと鋭さによって後退を余儀なくされます。

その勢いはパントにまで。

ブロックの甘さかはたまたアサイメントミスなのかわかりませんが、
まさかの自陣でのパントブロックを浴びます!!!

自陣での被パントブロックはサッカーでいうと
自チームのゴールの前で相手にパスしてしまうようなものです。
それはあかんでーというプレーでした。セルジオに怒られます。

ただ、伝統的に名大ディフェンスはレッドゾーンに強い。
ここも何とかしてくれるでしょう、LB#55伊藤豊大が。

久しぶりに名大ディフェンスを見ますが、ずいぶん昔とメンバーが変わっています。
特にDLはほぼ総入れ替えのようなもんです。
35代(前4年)の抜けた穴はちゃんと埋めれてるのかな?と注目。

さあ南山の攻撃。・・・

3連続フォルス・スタート。15ヤードの罰退。どこまでさがんねん。
ラッキーですが、なんだかなあという光景です。

まあフィールドゴール止まりだろう。

・・・じわじわ攻め込まれタッチダウン。

DLがいまいち動けていない印象でした。
ブリッツ時のスラントの入り方もちょっと違うんじゃないかなという場面もありました。

TFP(トライフォーポイント)は失敗。6-0のビハインドです。

「一進一退の展開(焦り)」

南山のキックで試合が再開されます。

しかし、リターナーとブロックの距離が遠く、漏れてきたラッシュにタックルされます。

自陣25ヤード付近からの攻撃。
ここでグランパスはQB#2梶原指揮の元、なかなかのドライブを見せます。

RB#24松谷、WR#12亀井、WR#6石川とグランパス自慢のオフェンスバックス陣が
テンポよくゲインを重ね、敵陣25ヤード付近まで攻め込みます。

OL陣も2,3年主体と若いですが、なかなか良いブロックを見せています。

けが人も多いようですが、いい選手がそろっているんじゃないでしょうか。
来年以降も頼もしいです。

しかし南山ディフェンスがロスタックル、QBサック(注1)と
立て続けにグランパスを大きく後退させます。

結局4th downギャンブル(注2)失敗で、攻守交代。

その後両者一進一退。なかなか試合が動かず。
先制されたことによる焦りというのがあるのかもしれません。

こういう場面で何か起爆剤となるスカッとするプレーが出ないかな、と期待して見守ります。

途中CB#8西埜がロングパスをキャッチ寸前にWRの手からはじき出したり、
昨年に続くインターセプト(注3)も決めました。

3年生になって質の高いプレーが安定してできるようになってますね。
34代DB佐尾さんも鼻高々です。

そしてQBも#2梶原から#4安田に交代。
こんな時はそうやってリズムを変えるのもよい選択。

RB#24松谷、RB#21伊藤舜が要所で良い走りを見せてゲインしていきますがやはり攻めきれません。

グランパス守備陣も南山攻撃陣にしっかりアジャストしてきていて、ゲインされる気配も感じません。

両者共得点の気配がなく、余計に最初のミスが悔やまれる展開です。

グランパスの選手も焦りが出始めているか?

過去5戦負けなしとはいえ南山も実力校。
こういった展開になるとリードされた側は非常に大きいプレッシャーを受けます。

敗色とまではいきませんが、焦りがミスを生む悪循環にならないか心配だなと、
もしかしたらの展開を考え始めたところで前半終了。

残り時間が少なくなればなるほど焦りは募ります。(観ているほうも)
早く同点に追いつくんだグランパス!


オフェンスの司令塔 OB#2梶原

■第3、第4Q
「勝負強さ炸裂!(感動)」

後半は名大のキックで試合再開。
キックリーダーDB#42木佐貫が鋭いタックル!

南山の反則もあり南山の自陣18ヤードから攻撃が始まります。

南山はこのシリーズをオプション主体で攻めてきますが、
役割が徹底されている名大ディフェンスの前に軽々抑えられます。

ディフェンスが1st downを与えず、オフェンスの時間を多く作ること、それが大事です。

南山のパントになりますが、先ほどからグランパスのパントラッシュが弱いのが気がかりです。
ラッシュが早くかからないので南山パンターが余裕を持ってボールを持っています。

当然南山のガナーもリターナーに詰めよる時間の余裕ができ、
グランパスはなかなかリターンできません。

結果、パンターはボールキャッチもできず、ボールが地面を跳ね、
グランパスはかなり後退した所からの攻撃となってしまいました。

最低スナップ後3秒以内にラッシュかけないと
名城中京相手には厳しい戦いを強いられると思います。

キックの出来不出来がその後のオフェンス、ディフェンスの展開のしやすさを左右し、
試合結果を左右します。

グランパスは自陣25ヤードからの攻撃です。
RB#21伊藤舜、WR#6石川ら主力選手を使って1st down更新を重ねます。

じわじわ攻めていきますが、南山もアジャストしてきて
ハーフライン付近で3rd downロングのシチュエーションとなります。

グランパスの選択はもちろんパス。南山の強力DLのラッシュがQB#2梶原に迫ります。

QBサックかと思われた所、QB#2梶原は冷静に一歩下がってラッシュを交わし、中央にパス。

そのボールをWR#12亀井がダイビングキャッチ!

ギリギリのプレーで1st down獲得!しびれるプレーでした。

その後も3rd downロングに追い込まれますが、
今度はRB#24松谷が中央付近のミドルパスをギリギリのキャッチ!
1st down獲得を2シリーズ連続で成功させます。

かなりのロングドライブになって来ました。得点の期待が高まります。

が、次のプレーで名大がフォルス・スタート。やっちまったなー。

がっかりもつかの間、次のプレーでTE#82大常へのプレイアクションパスが炸裂!!!
ここで使いましたね。

ゴール前1ヤードまで至ります。このドライブは本当に感心しました。勝負強すぎです。
攻撃を率いるQB#2梶原もですがキャッチした3人も称賛ものです。

タックルをかわしてロングドライブにもっていったRB#21伊藤のランも必要不可欠でした。
リードされた重圧の中でこのロングドライブは本当に素晴らしい。

最後はRB#24松谷が中央ランでタッチダウン!逆転のTFPもきっちり決まります。7-6。

リードされたプレッシャーから解き放たれたグランパスはどんなプレーを見せてくれるのか?

「畳み掛ける展開(圧倒)」

その後名大ディフェンスは難なく南山を抑えてターンオーバー。
先ほどのロングドライブに引き続き、すぐさまグラウンドに戻った南山ディフェンスはバテバテか?

自陣40ヤード付近からと、非常にいい位置から攻撃は始まります。

RB#21伊藤舜、WR#12亀井と4年のロングゲインで1st downを次々に更新。
あっという間に敵陣奥まで攻め込みます。

エンドゾーンまでは攻めあぐね、敵陣20ヤードで4th down。

ここで名大はフィールドゴールを選択します。
名大のキッカーには厳しい距離か?と思って観ていましたが、お見事ボールはポールの間を通過。
大きな3点が入ります。観客席も大盛り上がり。10-6。

南山の攻撃は名大ディフェンスがシャットアウトします。

その後のパントではキャプテンDB#11竹腰のナイスなブロックがあり、
WR#6石川が敵陣38ヤードまでリターン。ここで良いキックリターンが出ました。

グランパスの攻撃はお医者さんの卵QB#4安田に代わっています。

彼はもはや次期QBとして経験を積む為に出場しているのではなく、
#2梶原との2枚看板QBとして名大オフェンスのチェンジオブペースを担っています。
(実際は分かりませんが、傍から見てそう見えます)

1プレー目でQB#4安田のキープ、2プレー目でRB#21伊藤舜が爆発力を見せます。
南山ディフェンスを次々とかわし、中央を割るランでゴール前寸前まで持っていきます。

彼のプレーを4年間見てきましたが、今年はほんとにすごいです。まるで別人。
課題であった1対1に非常に強くなりました。頼りになるRBです。

最後はQB #4安田からRB#24松谷へのオプションピッチでタッチダウン!17-6。

QB#2梶原、#4安田、RB#21伊藤、#24松谷とタイプの違う3、4年QB&RBコンビが
それぞれの持ち味を発揮しています。なんとも贅沢なオフェンススキル陣ですね。

正直勝利を確信しました。まさに畳み掛ける展開。

次の南山の攻撃も名大はシャットアウトして、3rd downロングに追い込みます。
南山オフェンスは得点後からまさに沈黙しています。

3rd downロングのパスをWRにぴったりついて行ったCB#8西埜落ち着いてボールにアジャスト。
またもやインターセプト。昨年に引き続き南山戦通算4つ目です。

快足を飛ばして敵陣深くまでリターンします。またもや得点のチャンス!

南山ディフェンスはたまったもんじゃないでしょう。

しかしこのシリーズは抑えられます。

その後時間のない(というよりも敗色濃厚な)南山はパントを蹴ることのできない状況になり、
またもや良いフィールドポジションで名大オフェンスに回ってきます。

QB#4安田が判断良くキープしてエンドゾーンに持ち込み、24-6。

おまけに試合終了間際にはQB#16杉本に代わり、
2プレーでWR#6石川へ見事なタッチダウンパスを放ります。30-6。


RB#21伊藤舜

■試合終了
「君たちは強い(激励)」

前半どうなることかと思いましたが、後半逆転後は畳み掛ける展開となり結果的には圧勝しました。

秋季リーグは不安との戦いだと思います。
学生スポーツは毎年4年生が抜け、毎年新しいしいチームで戦います。
しかも春は秋季に試合をする相手とほとんど対戦しません。
自分達が本当に強いのかどうかという実感が本番まで不透明なのです。
勝てるという確信は結果が出るまで持てないと思います。

今回の南山は過去5戦無敗、春季にも勝利はしましたが、秋の本番で勝てないと意味はなく、
きっと選手たちも本番まで不安と戦っていたと思います。
前半先制されて、そのまま折り返し、非常に焦ったと思います。

そんな状況で、後半早々見事なロングドライブをギリギリのプレーでつなぎ、
エンドゾーンまで持っていったグランパスは見事でした。

相手をさらに突き放す難しいフィールドゴールを決めたグランパスは見事でした。

相手をさらに畳み掛けるタッチダウンを重ね続けたグランパスは見事でした。

一つの勝負強さを秋季リーグで見せられた、というのは紛れもない一つの結果なわけです。
これは自信にしていいと思います。

君たちは強い。

一番大切な戦いの前にこういった試合ができたということを糧にして、
次の名城戦、必ずや勝利してください!

残念ながら観戦には行けませんが、遠く宮崎県は延岡の地で勝利を祈っています。
(30日から研修で3カ月行ってきます)


去年の名城戦

上田さんご回答ありがとうございました!!
次戦はVS名城大学 9/30(日)13:00KICK OFFです。
皆様ぜひご観戦にお越し下さい♪

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